不動産業に携わっていると、いわゆる職業病でしょうか私生活でも気になる事が多くなります。
そのなかでもyoutubeなどでよく目にするのが「賃貸VS購入」論争です。
まず私の持論から結論から申しますと、賃貸と購入のどちらが良いかと問われれば、
それは「個々のライフスタイルと場合(時代)による」が絶対です。
ただ今回は老後を考えると購入が良いというご説明をいたします。
・比較の条件が間違っていないか確認する
「賃貸VS購入」論争がおかしなところが、前提条件が明示されていなかったり、間違った設定だったりすることがあります。
今回は、下記のような条件とします。
・賃料10万円と毎月のローン返済額10万円の比較です。
・マンション(管理費+修繕積立金で毎月2万円と想定)
・賃貸は契約時諸経費1.5か月分、契約更新時1か月分と想定し、引っ越し費用は15万円とします。
・3LDKファミリータイプで広さは違いがないものとします
・住宅ローンは全期間固定で、2022年3月のフラット35の全期間固定金利を適用します。(団信あり・元利均等・繰上返済なし)
・35歳スタートで平均余命を考慮して80歳までのシミュレーションとします。
・単価の変動は無しという意味で、期間中他エリアへの移住は考慮しません。
・賃貸は10年に1度引っ越すこととします。
・夫婦と子供2人
・どちらも世帯収入は同じとする
・まずはコストの比較
賃貸の支払い総合計5670万円
単純計算ですが、家賃10万円で年間120万円。10年に1回引っ越すとして5回引っ越すとします。1回の引っ越し当たり30万円の経費がかかるので150万円。35歳から80歳までで合計5670万円というシミュレーションになります。
購入者がローンを完済する35年目の数字は、家賃が4200万円、引っ越し4回で120万円、合計4320万円です。
購入派の支払い合計は6094万円
ローン返済が10万円で年間120万円なのは賃貸と同じです。マンションなので管理費・修繕積立金が月2万円と想定して年間24万円。更に固定資産税が年間平均10万円かかるとします。
35歳から80歳までの合計が6094万円と賃貸よりも400万円ほど高い結果になります。
ちなみにローン完済時は、ローン返済額4200万円、その他経費で1520万円、合計5720万円ということになります。
この結果から結果的には賃貸の方がお得だ、とするのが良くある賃貸派の意見の根拠となります。
【シュミレーション計算表】
老後に圧倒的な差が
先ほどの数字を見てみます。
ローン完済時の購入派の支払い合計は5720万円、賃貸派は4290万円とその差は1430万円にもなります。
しかし80歳時点では購入派が6094万円、賃貸派が5655万円とその差が400万円くらいに縮まっています。
単月の支払いで見ると、賃貸派は家賃が最後まで10万円かかるのに対し、購入派はローンを完済すると、月々3万円弱で住むことができるようになります。
少し前に老後に2000万円くらい貯蓄がないと生活できないという問題がニュースになりました。
購入派が浮いた月々の金額を7万円とすると年間で84万円になります。
ローン完済から80歳までの11年間で924万円にも上り、老後に必要と言われた資金のうちおよそ半分を賄えることになります。
対して賃貸派は変わらず家賃を支払わなければならないので、年金の中から家賃を支払い続けなければなりません。
※【賃貸VS持ち家論争】~老後を考えると…どっち?その②につづく