こんにちは(^^)/
先日、不動産売買の決済を実行しているときにこんな場面を経験しました。
まず、決済時に行うことは、大きく分けて5つあります。
①売主の本人確認及び登記申請手続き(司法書士による委任作業)
②買主の本人確認及び登記申請手続き(司法書士による委任作業)
③融資の実行(住宅ローン活用時)
④売買代金の支払い。(買主より売主へ)
⑤登記申請により所有権の移転
①~⑤のような流れを同日内に行うのが必須なのですが、問題は①で起きました!!
売主さんが保管されているはずの権利証(登記済権利証)が紛失している事が発覚したのです!!
権利証と思っていたものは登記事項証明書で法務局で誰でも取得できるものだったのです。
良く起こりやすい勘違いなのですが…(-_-)
さてさて、権利証を紛失してしまった場合の対処方法はあるのか…?今回はそんなお話しです。
【登記済権利証】
【登記事項証明書】
確かに登記…と頭についているので勘違いしやすいかもしれませんが、効力としては段違いの書類です。
では、そもそも権利証について少しお話しますと、
不動産を購取得した場合には、既存の権利証は無効となり、新所有者には新たに権利証が発行されます。
ただし、権利証という呼称は昔のはなしで、平成17年ごろ(地域による)からは、「登記識別情報」と呼ばれ、
不動産の取得者ごとに通知されるパスワード(下記画像の下部記載部分)がその不動産の所有者である証明となります。
そしてそのパスワードの通知書が「登記識別情報通知」と呼ばれる、いわば権利証なのです。
※この記事では総じて権利証と表現します。
【登記識別情報】
権利証は再発行ができない
この権利証は、なんと再発行の制度がありません。
紛失してしまった、盗難にあった、毀損してしまった、といった場合でも、再発行はできません。
大切な資産を守る為にも不正防止を兼ねているのかもしれません。
中には銀行の貸金庫に保管をしている方もおりますが、大切に保管することが必要です。
権利証がない場合の手続き
権利証を使う場面としては、その不動産を売却する場合や、住宅ローンを借りる手続きをする場合です。
それらの場合に権利証を紛失してしまっているときは、権利証の提出に代わる手続きをすることになります。
①事前通知制度
ひとつめは、法務局の事前通知制度を利用する方法です。
これは、権利証が必要な登記の手続きを法務局へ申請した際に、権利証がないことを伝えると、後日法務局から本人宛に「本人限定郵便」で、「登記申請がされていますけど間違いありませんか」という趣旨の照会書が届きます。
こちらの書類に返信することで、登記の手続きがきちんと処理される、という方法です。
ところがこの方法は、不動産の売買の場面では使うことができません。
不動産の取引においては、売買代金の支払いと権利の引渡しは同時である必要があります。
買主が先に全額を支払ったのに、仮に売主がこの回答書を無視した場合には、権利が引き渡されないこととなってしまいます。
②公証人の認証
ふたつめは、公証役場にて、登記の書類に認証をもらう、という方法です。
例えば売買においては、公証人が売主の意思確認・本人確認を行うことで、権利証がなくても登記手続きを進めても問題ない、というお墨付きを与えるという方法です。
ただ、売買の実務においてもこの方法が採用されるケースは少ないため、公証人自体もこの制度に不慣れでいることが実情です。
③司法書士による本人確認
最後が、司法書士による本人確認・意思確認を行い、登記の手続きを進める方法です。
不動産の取引にも明るく、登記手続きのスペシャリストである司法書士に任せることで、権利証を紛失している場合でも手続きがスムーズに進むことになります。
取引の場で一般的な方法はこの3番目になります。
ただ、コストがかかってしまう点がネックとなります。※ケースバイケースだが5~15万円位は必要。
以上のように、権利証を紛失した場合でも、手続ができないことはないのですが、手間や費用がかかってしまいます。
やはり一番肝要なのは、権利証を大切に保管し、紛失しないことかと思います。
しかし不動産取引の場では、色々なことが起こります(‘_’)
何かの参考になれば幸いです。ではまた!