ここが肝心。リフォーム予算の立て方とタイミングのカギ
中古住宅を賢く買うために、とても大事なコツがあります。これは、絶対に間違ってはいけないタイミングの話です。
それはリフォームの予算をたてるタイミングです。
「リフォームの予算をたてるのは、購入の決断をする前」
これは必ず覚えておいてください。購入の決断を示す「買付証明書」(購入証明書)を提出する前です。つまり。契約の前ということになります。
私がリフォーム会社を経営していて、一番悔しくて残忍に思うのが、このタイミングを間違って来られるお客様があまりにも多いことです。
「中古住宅を買ったので、リフォームの見積もりをしてほしい」というお客さまが本当に多いのです。
これは、中古住宅購入では普通の流れです。しかし、資金的に失敗する、中古住宅購入での一番多い失敗例です。
通常、不動産会社から中古住宅を購入すると、次のようなことが起こります。
お客様:
「リフォーム代がいくらかかるか分からないから不安です」
「リフォームの打ち合わせや見積もりをしてもらってから、購入の決断をしたいんです」
「建物の状態を知り合いに見てもらいたいのですが」
不動産営業マン:
「すぐに買付証明書を入れてもらわないと、物件がなくなりますよ」
「リフォームの見積もりは、契約してからゆっくり計算してください」
「リフォームはだいたい200万ぐらいあったら大丈夫じゃないですか?」(高いと売れなくなるので最低限の価格を適当に言うケースが多い)
「いい物件ほどすぐになくなります。そんな時間はないですよ」
「いい物件ほどすぐなくなる」のは現実ですし、購入にはスピードが必要なのも嘘ではありません。(ただしm人気がない物件でも同じことを言う営業マンもいます)。
では、なにが問題なのでしょうか。その理由は大きく3つあります。
①先にリフォーム予算を立て、リフォーム代金も住宅ローンに一緒に入れたほうが金利も期間も有利になるから。
先に住宅だけの住宅ローンを組んでしまうと、あとからリフォームローンが組めなくなることが多い、また、組めても金利が高くなり、期間も短い・
②後から見積もりを取ると、本当にしたいリフォームの予算が足りなくなり、失敗しやすい。手持ち資金の少な若い人の失敗が多い。
③住宅購入後の見積もりで、建物の状態が悪かったり希望の間取りに変更できないとわかっても、契約してしまっているから、取り消すのが難しい。
例えば、広いLDKにしたかったのに、2×4の構造の家で、
壁を取り除くことができなかった。床下を見るとシロアリにかなり土台を食べられていたり、腐食がすごかった。こうした素人ではわからない落とし穴が見つかる場合がある。
ここでひとつ実例をお話しします。
中古住宅を購入したAさんに見積もり依頼をいただき、一緒に物件を見に行った時の会話です。
私(リフォーム業者):「どんなリフォームがご希望ですか?」
Aさん:「水回りの設備は全部交換して、対面キッチンにしたいんです。内装クロスも全部変えたくて。この和室を洋室にして、収納を増やしたいんです。イメージはナチュラルで、木目が優しい感じにしたいんです。それから、それと、これと(要望は続く)。あっ。予算は300万円ぐらい現金を残しているんですが、足りますかね?」
私:「まずは希望のリフォームの見積もりを出しますね。その前に、ひと通り建物を見せてもらったんですけど、バルコニーの防水が切れていますね。あと、外壁も近くで見ると結構ひび割れがありますね。対面キッチンにするにはサッシも入れ替えないと変な位置になってしまいます。防水や外壁、屋根塗装だけでおそらく150万円ぐらいはかかりますよ。サッシを入れ替えるとなると、ご希望のリフォーム全部は無理ですね」
Aさん:「えーっ! キッチンやお風呂はいいものを選びたいのに⋯⋯」
私:「ほかにも、エアコンと照明とカーテンや家具・家電にも結構かかりますよ。不動産取得税も忘れた頃に来ますし⋯⋯」
Aさん:「ぎゃー。設備は古いままは絶対に嫌!不動産屋さんは300万円もあればいけるって言ってたのに」
私:「どんな商品でどこまでを300万円って言っていましたか?」
Aさん:「具体的には聞いてないし、防水とか外壁はなにも言ってなかったです・・・」
私:「買う前に見せてくれれば、すぐにわかったのですが・・・。これらのリフォーム費用を住宅ローンに組み込むこともできたんですよ」
Aさん:「どうしよう。せっかくの夢のマイホームなのに、汚いままのお風呂は嫌。でも物件購入で資金も使ってしまったし。どうしよう」
このようなケースがたくさん起こっているのが現実です。
だからこそ、物件購入前の予算と打ち合わせがとても大事になります。しっかり覚えておいてください。