新耐震と旧耐震の違いを知る。安心を得るために大切な築年数での見分け方
中古物件を買う上で、知っておいてほしい建築基準法の耐震基準というものがあります。
それは、日本独特の「地震」に関する基準です。
ご存じのように、1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災、そして2016年の熊本地震など、日本は大きな地震を何度も経験しています。
私も神戸に住んでいた時に阪神・淡路大震災で被災したひとりですし、大切な同僚を建物に潰されて亡くしたつらい経験があります。
ですから、見た目だけではわからない構造的な安心も、物件を選ぶ上で視野に入れていただきたいのです。
「建物を見ただけではわからない」
「不動産屋さんはアドバイスしてくれないの?」
と思われるでしょう。
その通りです。見ただけではわかりません。
ですから、本来は物件をすすめる不動産営業マンがアドバイスすべきですが、建築に詳しくない営業マンがたくさんいるのもまた事実ですし、建築士でも建築のプロでもありません。
もちろん建物の構造に精通した営業マンもいますので、そのような担当に当たった場合は大丈夫です。
でもそうでない場合はやはり、自分で知っておくことが失敗しない秘訣になります。
ここで、簡単に目安を紹介するので、覚えておいてください。
まずは、建築基準法の変遷です。
旧耐震基準から新耐震基準に変わっています(次ペー図⑫参考)
・1981年6月1日~「建築基準法新耐震基準」のターニングポイント
大幅な改正が行なわれたこの日以降の建築確認交付の物件は、「新耐震基準」と呼ばれています。
注意が必要なのは「完成日」や「竣工日」ではないということです。
特にマンションなどでは建築確認から完成までに1年や2年の工期がかかるので、物件資料に「築〇〇年」や「完成日」が書いてある場合には気をつけましょう。
1983年以降の物件であればまず大丈夫でしょう。
・2000年6月1日「耐震基準強化」
木造住宅であれば、この日以降の物件がさらに安心です。
1995年の阪神・淡路大震災を受け、2000年にさらに基準が強化されました。
地盤調査の義務化や耐力壁のバランス配置などが盛り込まれたので、現在の新築住宅とほぼ同じ基準で建てられている物件と考えて大丈夫です。
では、1981年以前の物件は買ってはいけないのかというと、そうではありません。
ただし、必ず買う時に耐震補強工事の予算も入れておいてほしいのです。
物件購入のローンに含めておけば資金的にも都合がつきやすいですし、リフォーム時に耐震補強工事をすれば、無駄がなくなり費用的にも安くできます。
また、自治体によっては、耐震診断、補強設計、補強工事の補助金が出る場合も多いので、調べてみて使える場合は利用しましょう
(例えば、大阪府八尾市の場合、補強工事に約70万円程度の補助金が使えます)。
前記のように、建てられた年代によって耐震基準が変わるので、ここでもう一度整理してみます。
・2000年6月以降の基準で建てられた住宅
安心して住めます。今の基準で壁量・バランスなどが考えられた住宅です。
・1981〜2000年5月までの基準で建てられた住宅
一応、新耐震基準で建てられた住宅です。耐震の適合証明や瑕疵保険なども耐震基準を合格とする住宅になります。
ただ、上下階の壁のバランスやホールダウン金物(引き抜け防止金物)などを確認しましょう。
追加で付けておくと現在の基準に近づき、安心が増します。
・1981年5月以前の基準で建てられた住宅
旧耐震住宅になるので、大地震が発生すると倒壊の恐れがあり、危険です。
リフォーム時に耐震診断をして、補強工事をしておきましょう。
きちんと補強工事をすれば安心して住むことができます。予算を購入前に組んでおきましょう。